4月22日「言海全4巻が完結した日」
4月22日は、大槻文彦が著した国語辞典『言海』(げんかい)全4巻が完結した日です。1875年に、当時の文部省報告課長から国語辞書の編纂を命じられた大槻は、1886年に『言海』を成立しました。しかし、元々刊行される予定だった文部省に予算が無く、出版が立ち消えそうになりました。そして1888年に自費出版を条件に文部省から稿本が下げ渡しされ、1889年から1891年にかけて自費で出版しました。4月22日は、1891年の4巻目が出た日です。
仕事で命じられて作ったのに、最終的に自費で出版させられるとは、なかなか酷なことだなと思います。ただ仕事をしていると、当初の約束と違い1円も支払われなかったり、担当の人が消えたりすることは時々あります。
大槻は難しい状況の中、その仕事を世に出す意味があると考えたのだと思います。
言海と言えば、その巻頭には、日本語の文法を体系づけた語法指南が掲載されています。この部分は、かなりのページ数が割かれています。大槻は国語辞典を作るにあたり、発音、品詞、語源、意味記述、出典が必須であると考えました。しかし、そもそも国語辞典がない状況では、読者は品詞などの概念がありません。その品詞の分類を読者に伝えるためにも、まずはその土台である文法を体系づける必要があったわけです。
これまでにない新しい物を作るときには、まずその土台から作らないといけないことがあります。たとえばコンピューターを作るならば、どうすれば計算ができるのかを考える必要があります。私たちはできたものを見ているだけですが、土台の部分を作るのは本当に難しいと思います。
新しいものには、その背後に土台となる新しいものがある。そうした意識を忘れず、さまざまなものを見ていきたいと思います。
スピーチ作例
4月22日1
文字数:750文字
想定時間:2分30秒
想定時間は300文字1分の概算です。実際には、挨拶や身振りなども入るでしょうから、この時間よりも長くなるでしょう。