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梅干しは、ウメの果実を塩漬けした後に日干しにしたものです。塩漬けのみで日干しを行っていないものは梅漬けと呼ばれます。
梅干しのこの酸味はレモンなどの柑橘類に多く含まれるクエン酸、調味梅干の場合はそれに加えて漬け原材料の酸味料に由来します。
スーパーマーケットなどで市販されている梅干しには、消費者の嗜好の変化から調味梅干が多いです。
調味梅干は、白干しの梅干を水につけて塩抜きした上で、味付けをしたものです。減塩梅干や調味梅干は、塩分が少なくなることで保存性が下がるため、賞味期間が短く設定されることが多いです。
ウメの実には元々青酸配糖体であるアミグダリンという成分が含まれています。これが胃腸などで酵素によって加水分解されると、猛毒であるシアン化水素(青酸)を生成します。
これは特に梅干しの種の仁(中身)の部分に多く、多量に食べると青酸中毒に陥り、最悪の場合は死に至る可能性があります。
ただし、漬けることでアミグダリンはほぼ消失し、食べても人体にはほとんど影響がないとされています。
平安時代には、村上天皇が梅干しと昆布茶で病を治したという言い伝えが残っています。
また、菅原道真が梅を詠んだ短歌はよく知られ、これは「釣りのときに持参する弁当に梅干しを入れて行くと、魚が釣れない」という言い伝えの起源となりました。
戦国時代になると梅干しは保存食としてだけではなく、傷の消毒や戦場での食中毒、伝染病の予防になくてはならないものとなりました。梅干しは戦略物資の一つとなり、武将たちは梅の植林を奨励しました。これは現在でも梅の名所や梅干しの産地として残っています。