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光化学スモッグは、オゾンやアルデヒドなどからなる気体成分の光化学オキシダントと、硝酸塩や硫酸塩などからなる固体成分の微粒子が混合した、光化学オキシダントを主成分とするスモッグです。周囲の見通しが低下して、健康に影響をおよぼすことがある、大気汚染の一種です。
工場や自動車の排気ガスなどに含まれる窒素酸化物や炭化水素(揮発性有機化合物)が、日光に含まれる紫外線により光化学反応を起こして変質して、オゾンなどが発生します。夏の熱い日の昼間に多く、特に日差しが強く風の弱い日に発生しやすいです。
1970年の初報告以来、日本国内では光化学スモッグが多数報告されるようになりました。
光化学スモッグ注意報などの発表延べ日数は、1973年に300日を超えてピークに達しています。その後減少し、1984年には100日以下となりました。しかし、再び増加して1980年代後半以降は100-200日前後を推移し、2000年と2007年には200日を超えています。
光化学オキシダントの濃度も、2006年から2010年の5年間で環境基準を達成している地点は0.2~0%とほとんどなく、2012年の環境白書でも「依然として低い水準」とされています。
2000年前後から、対馬などの離島や西日本、日本海側などでは、光化学オキシダントの高濃度事例が発生して、問題となっています。これは、主に中国から越境輸送された汚染物質が、影響したと推定されています。
光化学オキシダントの諸成分によって、目や喉、皮膚などに刺激症状が引き起こされます。これらの症状を、光化学スモッグ障害と呼びます。
主な症状は以下の通りです。目がチカチカする、異物感、流涙、痛み。喉の痛み、咳。皮膚の発赤。
また、重症例は以下の通りです。めまい・頭痛・発熱。呼吸が苦しい、呼吸困難。嘔吐。意識障害。
光化学スモッグ注意報や警報が発令された場合、また症状を感じた場合は、窓やカーテンを閉め外出を控えること、運動を行っている場合は中止して屋内に入ることが対策になります。
気管支喘息の罹患者や既往者、乳幼児、高齢者、病弱な方は、健康な成人よりも影響を受けやすい可能性があり、注意を要します。
目や喉、皮膚などに光化学スモッグ障害の症状が現れた場合、軽症であれば、洗眼やうがいをしたり、皮膚を洗い流したりすることで対処可能です。息苦しさを感じるときや洗顔・うがいをしても症状が良くならないときは、内科を受診することが推奨されます。
日本では、高濃度の光化学オキシダントが観測・予測される場合、各都道府県が「光化学スモッグ注意報」「光化学スモッグ警報」などを発表します。
これらは光化学スモッグの危険度を示すもので、大気汚染防止法に基づき、「光化学スモッグ注意報」「光化学スモッグ重大緊急時警報」が発令されます。
また、各都道府県が独自の判断に基づき、「光化学スモッグ予報」「光化学スモッグ警報」を出すこともあります。