12月6日「ラジオアイソトープの日」
12月6日は「ラジオアイソトープの日」です。この日は、ラジオアイソトープ(放射性同位元素)の製造にも使われるサイクロトロンを開発した仁科芳雄博士の1890年の誕生日です。
アイソトープ(同位元素)は、陽子の個数が同じで、中性子の個数が異なる原子同士のことを指します。その中でも、外部から力を加えられることなく、ひとりでに放射線を出して他の種類の原子核に変わるものを、ラジオアイソトープ(放射性同位体)と呼びます。
私はラジオアイソトープを利用した検査や治療を受けたことがありません。放射性医薬品を用いて、臓器の血流や機能を調べたり、甲状腺に吸収されやすいヨウ素の放射性同位体を利用して癌治療をしたり、様々な用いられ方をしています。
原子のレベルで物事を考える医療なわけで、100年、200年前の人類では考えつかない、魔法のような方法だと思います。
日本の現代物理学の父と呼ばれる仁科芳雄は、理化学研究所に日本第1号、世界では第2号のサイクロトロンを建設して、原子核・素粒子研究の基礎を築きました。また、ラジオアイソトープを医学、生物学など幅広い分野へ応用するための先駆的な研究を指導しました。
理研の仁科研究室には、彼を慕い、朝永振一郎や湯川秀樹など多くの研究者が集いました。
第二次世界大戦中、陸軍は、仁科研究室に核兵器の研究を委託し、海軍も仁科と原子爆弾製造について検討しました。しかし、「原爆製造の可能性はあるが当時の戦争に使用されるほど早くは開発不能であろう」と結論づけました。
その後、1945年夏に広島、長崎に投下された爆弾を直感で原子爆弾と判断し、仁科は現地の調査に出かけました。そして、その時の衝撃を、青空文庫にも収録されている「原子力の管理」という文章に残しています。
放射能を持った物質の話では、原子爆弾や被爆の話が必ず付いて回ります。強い力を持つ物ほど、その使い方を誤れば大きな被害を招きます。
そうした間違いに至らないために、一人一人が正しい知識を学び、意識を向け続けなければならないのだと思います。
スピーチ作例
12月6日1
文字数:877文字
想定時間:2分55秒
想定時間は300文字1分の概算です。実際には、挨拶や身振りなども入るでしょうから、この時間よりも長くなるでしょう。