その他の情報
ビタミンは、生物の生存・生育に微量に必要な栄養素のうち、炭水化物・タンパク質・脂質以外の有機化合物の総称です。栄養素のうち、無機物はミネラルと呼ばれます。
生物種によってビタミンとして働く物質は異なります。ビタミンの多くは、生体内において酵素がその活性を発揮するために必要な補酵素として機能します。ヒトのビタミンは13種が認められています。
ビタミンはほとんどの場合、生体内で十分量合成することができないので、主に食料から摂取されます。ビタミンが不足すると、ビタミン類を補酵素として利用する酵素が関与する代謝系の機能不全症状が現れ、疾病や成長障害が起こる可能性があります。
アミン(amine)は、アンモニアの水素原子を、炭化水素基または芳香族原子団で置換した化合物の総称です。置換した数が1つであれば第一級アミン、2つであれば第二級アミン、3つであれば第三級アミンといいます。
1920年に、ジャック・セシル・ドラモンドは、柑橘系果物の中の壊血病を予防する成分の抽出に成功しました。
「生存に不可欠な微量成分」=「ビタミン (vitamine)」の名称は、既に日常的に使用されていましたが、新発見の成分はアミン (amine) の化合物ではなかったため、ビタミンの発音はそのままで「vitamin」とスペルを変更することを提案し、発見した壊血病を予防する成分を「ビタミンC」と命名しました。以降、vitaminの綴りが定着していくことになります。
脚気は、ビタミン欠乏症の1つで、ビタミンB1(チアミン)の欠乏によって心不全と末梢神経障害をきたす疾患です。心不全によって足のむくみ、神経障害によって足のしびれが起きることから脚気と呼ばれます。
心臓機能の低下・不全を併発したときは、脚気衝心(しょうしん)と呼ばれ、最悪の場合は死に至ります。
日本では、白米が流行した江戸において疾患が流行したため「江戸患い」と呼ばれました。
大正時代には、結核と並ぶ二大国民亡国病と言われました。最も多い1923年(大正12年)には、26,796人が亡くなっています。1910年代にビタミンの不足が原因と判明し、治療可能となりましたが、死者が1千人を下回ったのは1950年代です。
その後も1970年代にジャンクフードの偏食によるビタミン欠乏、1990年代に点滴輸液中のビタミン欠乏によって、脚気患者が発生し問題となりました。
ビタミンB1(チアミン)が多く含まれている食べ物には、酵母、豚肉、胚芽(米ぬか・ふすまなど)、豆類、ソバ、全穀パン、牛乳、緑黄色野菜、たらこ、うなぎ、牡蠣があります。