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「傘」は、上から降下してくるものに対して防護する目的の用具で、一般には手に持って差しかけて使う用具の総称を指します。頭部に直接かぶって使う用具である「笠」とは区別されます。
ガーデンパラソルやマーケットパラソルなど携行を目的としない特殊な傘もあり、これらは地面に立てたり吊ったりして用います。
日本には、欽明天皇の時代552年に、百済聖王(聖明王)の使者から渡来しました。当初は主に日射を避ける「日傘」として用いましたが、その後日本独自の構造的進化も見られ、降水に対して使うことが多くなっていきました。
和傘はおもに竹を材料として軸と骨を製作し、傘布に柿渋、亜麻仁油、桐油等を塗って防水加工した油紙を使いました。
洋傘の骨が数本程度であるのに対して、和傘の場合、数十本の骨が用いられます。これは洋傘と傘の展開方法が異なるためです。
和傘は、洋傘のように逆さに傘を立てて保管すると雨水が頭頂部にたまり、浸水により破損する危険があります。そのため、天井や軒先からつるすように保管します。
和傘は、平安時代に製紙技術の進歩や竹細工の技術を取り込んで改良され、室町時代には和紙に油を塗布する事で防水性を持たせ、現在と同じ用途で広く使用されるようになりました。それとともに傘を専門に製作する傘張り職人が登場しました。
折畳み傘は、1928年にドイツのハンス・ハウプトが発案して、1932年に特許を取得しました。同特許の許諾を得たクニルプス社が製造・販売を行い、現代でも折畳み傘のトップブランドです。
ビニール傘は、1958年に、ホワイトローズ株式会社が、第一号を完成させます。ホワイトローズは、1721年創業の江戸幕府御用達の傘問屋、武田長五郎商店が前身です。
ビニール傘第一号は、問屋から傘の競合品として扱いを拒まれ、納入予定先の大手商社との商談も不調で販路に窮します。仕方なく、銀座を中心に店頭委託販売を行います。
1964年には、東京オリンピックで来日したアメリカ人から、ニューヨークで売りたいと持ちかけられます。ホワイトローズは、専用の透明素材を企業に開発させて、透明なビニール傘を完成させます。この透明なビニール傘は、ニューヨークで飛ぶように売れました。